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土曜日, 10月 24, 2020

【アバウトタイム(ABOUT TIME) 】

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  父が肺がんで亡くなった時、私は悲しみに浸る暇もないほど慌しく過ごしていた。喪主なのにまるで来客にでもなったかのように、葬儀を終えてすぐに韓国から日本へ戻った。近頃ようやく父のことを思い出すようになった。亡くなったことよりも悲しいのは日常の中で父の不在を感じることだ。『世界の中心で愛を叫ぶ』という映画の中で、祖父が亡くなるまで悲しみを覚えることのなかった主人公(朔太郎)が、祖父がなくなり日常が戻ったある日、祖父の重さ分だけ自転車が軽くなっている事に気が付いて、崩れ落ち号泣した場面が思い浮かんだ。自転車の後ろに座っていた祖父がいないことによる軽さは、亡くなったことよりも現実的な悲しみだった。

  私の息子は4年生になった。息子の手を握って街を歩いていた時、ふと朔太郎の軽くなった自転車を思い出した。私が息子の手を握って歩くより、もっと多くの時間を父は私の手を握って歩いてくれた。私よりも父は息子に対して優しい人だったと思う。私が小学4年生の頃、父は私の手を握って、市内にある市場に寄っては刺身を買って家に帰ったりもしてくれた。私はその思い出を忘れたまま生きていた。父は私と話が合わない人だと思っていた。父の不在から来る悲しみも、父との思い出を忘れていたことからくる申し訳なさも、とても大きいものだった。もう父の大きな手はない。息子の小さな手が私の手にはあった。

  映画『アバウトタイム~愛おしい時間について~」に登場する主人公とその父には、時間を巻き戻す能力があった。重要な出来事の度にタイムトラベルで過去に戻り、その出来事を変えるのである。恋愛のためにその能力を使って過去に戻り、その愛を成就させることに成功した主人公だったが、過去が変われば未来も変わる。妹が交通事故に遭わないように過去へ戻ると、そのせいで自分の娘が息子に変わってしまっていた。不幸な過去に変化を加えると、幸せな未来に影響が出る。

  この映画のクライマックスでは、父が肺がん末期であることを知った主人公が、父に対して「過去に戻りタバコを止めてほしい。」と頼む。すると父は、「お前のお母さんは、私がタバコを吸っている姿に惚れて結婚したのだから、タバコを止めるとお前たちには会えなくなってしまう。だから過去には戻らない。」と言った。

  そうして父と息子は最後のタイムトラベルを楽しむ。幸せだった幼少期に一緒に散歩をした海に出かけた。過去に変化を加えることも操作したりもしない。

  こうして現在に戻ってきた息子は父を送り、その後もう二度とその能力を使うことはなかった。父と息子が最後に選んだのは散歩だった。アバウトタイム、その時わたしたちがすべきことは、子どもの手を握って散歩をすることなのかもしれない。

チョウ・ヨンギル 牧師

1973年釜山で生まれ、大学を卒業するまでの芸術学部で美術を学んだ。卒業後日本に渡って、高齢者、建築と環境デザインを学んだ。
学生活動でコスタジャパンに参加し、そこイエスを信じた。大地震があった年に、東京のキリスト教大学の神学部に編入して勉強した後、同大学院で勉強を続けた。韓国AMJ派遣宣教師であり、現在では、日本同盟基督教団所属加え愛の教会を担任している。

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