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日曜日, 2月 28, 2021

「よく見て、聞いているか、石の叫びを」

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「よく見て、聞いているか、石の叫びを」  

山梨英和大学 宗教主任 洪 伊杓

イエスはお答えになった。「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだす。」 エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、言われた。「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし今は、それがお前には見えない。 (ルカによる福音書19章40〜42節)

写真① ヨーロッパの仮面舞踏会で使われたマスク。

イエスが子ろばに乗ってエルサレムに入ると、大勢の民衆が棕櫚の枝を上げ「ホサナ」(ヘブライ語の「救ってください」)と叫びながら歓迎しました。しかし、ファリサイ派の人々は、ナザレ出身の田舎者の姿に嫉妬しました。彼らの耳には「主の名によって来られる方、(…)天には平和、いと高きところには栄光」(38節)と叫ぶ人々の声が疎ましく感じました。彼らはこのように考えたのかもしれません。「イエスという人に何の力があって、群衆たちは救いを求め叫んでいるのか。その声を聞き、当たり前のように受け取るイエスという者もおかしい。本当に自分が救い主にでもなったつもりか。」だからファリサイ派の人々はイエスに群衆を厳しく罰してほしいと求めました。「先生、お弟子たちを叱ってください。」(39節) それに対して、イエスはこのように答えます。「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだす。」これは、イエスが旧約聖書で預言者ハバククが「まことに石は石垣から叫び 梁は建物からそれに答えている。災いだ、流血によって都を築き 不正によって町を建てる者よ。」(ハバクク2章11-12節)と語ったことを思い浮かべ語った言葉であったのかもしれません。

写真② DUCCIO di Buoninsegna, Entry into Jerusalem, 1308-11, Tempera on wood, 100 x 57 cm, Museo dell`Opera, del Duomo, Siena

前回のメッセージに続けて「マスク」についてお話しましょう。神が口を一つ、目と耳を二つずつ与えて下さった理由は何でしょうか。「静観」と「傾聴」が求められているのではないでしょうか。自らの欲を吐き出すよりは、「救ってください」(ホサナ)と叫ぶ隣人の姿を見て、彼らの声に耳を傾けてほしいとお考えなのではないでしょうか。

ファリサイ派の人々は自らの「口」だけを使っていましたが、イエスは民衆の苦しい姿を見、その叫びに耳を傾けました。そして、ファリサイ派の人々がイエスを試した時には「石の叫び」を取り上げ、応酬しました。人間が勝手に使い、捨て、つまらないものとして無視してしまう自然の最も小さいものの叫びにまで目と耳を傾けました。仏教で「観音」という言葉があります。音を見るというのは矛盾する表現のように考えられますが、イエスは「石」を見ながらもそこから発せられる「叫び」をご覧になったのです。まさに「観音」を行なったということです。

イエスは都をみて泣き始めます。そして「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし今は、それがお前には見えない。」(42節)と、私たち人間の愚かさを歎かれました。ここで「泣く」という動詞に使われたギリシャ語「エクラウセン」(ἔκλαυσεν)は「大声で涙を流し嘆く」という意味です。疾病による苦しみ、経済的な困難に追い込まれた人々、そして私たち人間の愚かさのために呻いている自然のすべてのもののために、イエスとともに泣きながらよく見て、よく聞く人でありたいと思います。イエスが愛し、活動した涙の地「ガラリヤ」は、今日、どこにあるのでしょうか。そこからの叫び声に静観し、傾聴する「目と耳」になることを願います。

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